
「相続した実家を空き家のまま置いておくのはもったいない?」
「民泊は年間180日しか営業できないと聞いたけれど本当?」
インバウンド需要の増加に伴い、使っていない空き家や相続した実家を「民泊」として活用する選択肢が注目されています。通常の賃貸より高い収益を狙える一方で、制度の違いや近隣対応、消防設備など、事前に押さえるべきポイントもあります。
今回は、センチュリー21ウエストエリア代表の大村武司と、ウエストエリア行政書士事務所代表で行政書士・宅地建物取引士の大久保太一先生の解説を元に、空き家を民泊として活用するための基本知識と注意点について解説します。
【重要ポイント】民泊と空き家活用の基礎知識
この記事の要点は以下の通りです。時間のない方はここだけチェックしてください。
- 制度は2種類: 年間180日上限の「民泊新法」と、指定エリアで365日稼働を狙える「特区民泊」があります。
- 大阪市では特区民泊が有力: 大阪市などの対象エリアでは、条件を満たせば特区民泊の許可取得を目指せます。
- 許可には準備が必要: 25平米以上の広さ、消防設備、近隣への説明会や書面配布などの対応が必要です。
- 収益性が高い可能性: 立地や運営次第では、通常賃貸の2〜3倍の収入を見込める場合があります。
- 出口戦略に強い: 民泊は一時的な宿泊契約のため、将来の建替え時に立ち退き問題を避けやすい点も特徴です。
特区民泊とは? 大阪市なら365日稼働を狙える
宇野さん(相談者): 相続した実家を将来的には建て替えたいのですが、それまで空き家にするのはもったいない気がします。民泊にする場合、年間180日しか営業できないのでしょうか?
大村(専門家): そこは制度によって違います。民泊には大きく分けて、年間180日上限の「民泊新法」と、大阪市など指定されたエリアで許可を取る「特区民泊」があります。今回は民泊許可に詳しい大久保先生に整理していただきます。
大久保(行政書士): はい。大阪市などで特区民泊の許可を取得できれば、日数の制限なく365日稼働を目指すことができます。一方、民泊新法は全国で使いやすい制度ですが、年間180日という上限があります。
宇野さん(相談者): それなら、180日は民泊新法、残りの日数は特区民泊という形で併用できるのでしょうか?
大久保(行政書士): 併用しても、厳しい方の180日上限に引っ張られるという考え方になります。特区民泊には2泊以上の連泊からという制限もありますが、大阪市内で民泊を始める方の多くは、365日稼働を見据えて特区民泊の許可を目指します。
民泊新法と特区民泊の違い
- 民泊新法: 住宅宿泊事業法に基づく制度で、年間180日までの営業が基本です。
- 特区民泊: 国家戦略特区の対象エリアで許可を受ける制度で、大阪市などでは365日稼働を狙えます。
- 予約条件: 特区民泊では、2泊以上の連泊から受け入れる形になります。
- 向いているケース: インバウンド需要があり、空き家を宿泊用に整えられるエリアでは有力な選択肢になります。
許可取得までの流れと近隣説明会の考え方
宇野さん(相談者): 特区民泊の許可を取るには、どのような準備が必要ですか?
大久保(行政書士): 民泊新法が「届出」であるのに対して、特区民泊は「許可」です。部屋の広さが25平米以上あること、消防設備を整えること、近隣住民への説明会または書面配布を行うことなど、いくつかの要件を順番に満たしていく必要があります。
大村(専門家): 現在は大阪市内でも民泊を始めたい方が増えており、申請待ちに時間がかかるケースがあります。物件を買ってから慌てるのではなく、物件選定の段階で許可の見込みを確認することが大切です。
宇野さん(相談者): 近隣説明会で反対されたら、民泊はできなくなるのでしょうか?
大久保(行政書士): 動画内でお話しした通り、求められているのは「説明をした」というプロセスであり、近隣全員の同意ではありません。もちろんトラブル予防のために丁寧な説明や運営ルールの整備は必要ですが、要件を満たしていれば許可に進める可能性があります。
特区民泊の準備で確認したいこと
- 面積: 特区民泊では、部屋の広さが25平米以上あるかを確認します。
- 消防設備: 消防設備の工事や消防法令適合通知書の取得など、宿泊施設としての安全面を整えます。
- 近隣説明: 説明会や書面配布を行い、議事録など必要な記録を残します。
- スケジュール: 保健所への申請や現地調査に時間がかかるため、早めの準備が重要です。
民泊のメリット・デメリットと空き家活用の出口戦略
宇野さん(相談者): 率直に、民泊は普通の賃貸より収益が高いのでしょうか?
大村(専門家): 立地や運営の工夫にもよりますが、通常の賃貸物件と比べて2〜3倍の収入を見込める可能性があります。特にインバウンド需要が高いエリアや、大人数で泊まれる戸建てなどは、ホテルでは拾いきれないニーズを取り込める場合があります。
大久保(行政書士): ただし、民泊は収入が安定し続けるとは限りません。天候、社会情勢、観光需要の変化で売上が大きく変わることがあります。また、ゲスト対応、清掃、近隣トラブルの予防など、運営面の負担もあります。
宇野さん(相談者): それでも、相続した実家の活用として民泊が注目されているのはなぜですか?
大村(専門家): 大きな理由の一つが、将来の建替えや売却に移りやすいことです。普通借家契約で貸すと、借地借家法の関係で退去の調整が難しくなる場合があります。一方、民泊は一時的な宿泊契約なので、建替えたいタイミングで営業を止めやすい。数年後の出口を考えながら空き家を活用したい方には、検討価値があります。
大久保(行政書士): 物件選びの段階から、許可が取れるか、近隣環境に合うか、運営代行を使うかまで確認しておくと、開業後のミスマッチを減らせます。民泊は「許可を取れば終わり」ではなく、運営まで見据えて準備することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸マンションを借りて民泊を始めることはできますか?
A. 可能な場合はありますが、オーナーから転貸の承諾を得ること、マンション管理規約で民泊が禁止されていないことの確認が必要です。無断で始めると契約違反になるおそれがあるため、事前確認なしで進めるのは避けてください。
Q2. 民泊で人気が出やすい物件の特徴はありますか?
A. 動画内では、大人数が泊まれる物件が注目されていると紹介されています。円安やインバウンド需要の影響で、家族旅行やグループ旅行に対応できる戸建てなどは、ホテルとは違う強みを出しやすい場合があります。
Q3. 英語が話せなくても民泊運営はできますか?
A. ゲスト対応、清掃、案内文の整備、トラブル対応などを民泊運営代行会社に任せる方法があります。オーナー自身がすべて対応する前提ではなく、専門家や運営代行と役割分担することも検討できます。
まとめ
空き家を民泊として活用することは、高い収益性と将来の建替え・売却のしやすさを両立できる可能性があります。ただし、制度選び、許可準備、近隣対応、運営体制まで含めて検討することが前提です。
- 大阪市などの対象エリア: 特区民泊で365日稼働を狙えるか、面積や消防設備などの要件を確認します。
- 相続した空き家: 数年後の建替えや売却を見据えるなら、普通賃貸だけでなく民泊活用も比較検討します。
「自分の実家は民泊に向いているのか」「許可取得までどれくらい準備が必要か」と感じた方は、物件選定の段階から不動産会社と行政書士に相談し、収益性とリスクを整理してから進めましょう。
【専門家・大村武司の補足】 民泊は、空き家活用の中でも収益性と出口戦略の両方を考えやすい方法です。一方で、インバウンド需要や社会情勢に売上が左右される面もあります。特区民泊の許可を取れるエリアか、近隣説明や消防設備に問題がないか、運営代行を使うべきかを早めに確認し、通常賃貸や売却と比較しながら判断してください。
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